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資料詳細

項目 内容
資料番号 CH00005677
形状 自然史、写真・静止画像(データ)
資料名 春日井キャンパスの植物(ネムノキ)
作者 学校法人 中部大学
設置場所 中部大学(2号館中庭)
コレクション名
計測値 W(mm)
計測値 D(mm)
計測値 H(mm)
分類 自然史
解説 マメ科ネムノキ亜科ネムノキ属Albizia julibrissin。ネムノキ属は熱帯の植物であるが、ネムノキは落葉高木で耐寒性があり、イラン以東の東アジアに分布し、日本では本州以南の各地の山野に自生する。また、庭木として親しまれている。中部大学のネムノキは2号館の中庭にある。
葉の形態は2回偶数羽状複葉と言い、葉柄には7~9対の対生する羽片があって、各羽片にやはり対生する数多くの小葉をつける。夜は向い合う小葉が閉じる。ネムノキの和名はこの小葉の就眠運動に因(ちな)む。「合歓木」は、中国でネムノキが夫婦円満の象徴とされたことによる。葉柄の根元には花外蜜腺があり、昆虫が集まる。
6月から7月に花が咲く。赤みがかった多数の綿毛のような花が樹冠を飾り、遠目にも美しい※1。花はマメ亜科の蝶形花とはだいぶ違う。頭状花序と言って花柄の頭頂部に小さな花筒が10~20個生ずる。それぞれの花筒の花弁は小さく目立たない。中心の頂生花は雄しべが融合して白色の筒状である。頂生花の花筒を囲む側生花には、赤く長い絹糸状の雄しべが多数生じ、全体としてふわりと放射状に広がる。花は夕方開き、翌日にしぼむ。果実はマメ科らしく、エンドウに似た扁平な莢果(きょうか)である。
「この木何の木…」の歌で知られる、ハワイの常緑樹モンキーポッドAlbizia samanはネムノキと同属である。枝が太く、空間が多いところはネムノキに似ている。葉がネムノキのようなオジギソウは近縁であるが、別属である。触れると小葉が速やかに閉じる。小葉への接触の情報は機械的刺激に反応するイオンチャンネルを介して、小葉の根元にある葉枕(ようちん)という運動器官に伝達されるらしい。葉枕では、細胞の膨圧が急速に減じ、同時にアクチン繊維も分解して細胞が収縮し、小葉を閉じる。この運動は昆虫による食害を防ぐらしい※2。ネムノキの就眠運動にも同様の効果があるのだろうか。

参考)
・ 図説「花と樹の大事典」木村陽二郎監修、柏書房1996
・ 「日本の野生植物」第2巻、平凡社2016
・ 朝日百科「植物の世界」第5巻、p.5-57、朝日新聞社1997
・ 日本語版Wikipedia、「ネムノキ」
・※1花言葉:ときめき、夢想、安らぎ、歓喜など
・※2 Nature Commun.13:6412 (2022)、豊田ら

出典:「春日井キャンパスの植物」(『ANTENNA』 No.161、2023年10月、12頁。太田明徳 記および撮影 学校法人中部大学 監事(当時))