資料詳細
項目 | 内容 |
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資料番号 | CH00005676 |
形状 | 自然史、写真・静止画像(データ) |
資料名 | 春日井キャンパスの植物(クヌギ) |
作者 | 学校法人 中部大学 |
設置場所 | 中部大学(工法庵庭園、キャンパス各所) |
コレクション名 | |
計測値 W(mm) | |
計測値 D(mm) | |
計測値 H(mm) | |
分類 | 自然史 |
解説 | ブナ科コナラ属Quercus acutissima、属名は「良質の材木」、種小名は「最も鋭い」を意味するらしい。落葉広葉樹、樹高15-20m。東アジアの山地に分布し、日本では本州と九州の各地にみられる。コナラ、アカシデなどと共に雑木林の代表的な樹である。葉は互生し、柄があり長楕円形、葉脈の先端は短く針状に突き出す。雌雄同株異花で、4~5月に雄花が花穂となって垂れ下がる。直径2cmほどの丸い実(どんぐり)は翌秋に熟し、渋みが強く食用には適さないが、縄文時代には利用されたと言う。実を包む椀のような殻斗は、特徴的な固い総苞片(そうほうへん)に覆われている。ブナと異なりクヌギの幹はコルク質に厚く覆われ、表面が縦に割れている。 薪炭材として、また、椎茸栽培の榾木(ほだぎ)として利用される。武蔵野は武蔵国の水の便の悪い地域で、江戸期から明治にかけては、開削された用水路に沿って農家が並び、その奥に畑地、さらにその奥にクヌギなどの雑木林があった。雑木林は江戸への薪炭の供給など、多角的に利用された。国木田独歩の歩いた武蔵野は人手が入った明るい林だったろう。雑木林の風趣を好む人は今も多い。 中部大学では工法庵庭内のほか、キャンパス各所の樹林や周辺の森にもクヌギを多数見かける。それらの樹木は大学創建後に植えたものとのことであった(故大西学園長)。室内に放置したクヌギのどんぐりの殻が割れ、幼根が見えたので鉢に埋めたら、思いがけなく幼樹が育ち、明るい緑色の大きな若葉をいくつも付けている。 クヌギはまた、天蚕の飼養に利用される。天蚕はヤママユガの幼虫で、緑がかった繭から採れる生糸は艶があって高価な織物となる。江戸時代から安曇野の有明地区が山繭(やままゆ)の産地として知られている。小学校同級生の家で立派な機織り機を見かけ、初めて天蚕糸のことを聞いた。父君は農林省の職員で、蚕糸試験場松本支場に勤務していたらしい。 参考) ・「図説花と樹の大事典」、木村陽二郎監修、柏書房、1996 ・「日本の野生植物、木本Ⅰ」、佐竹義輔他編、平凡社、1989 ・Wikipedia「クヌギ」、山下名誉学事顧問談話 ・「葉かげなる天蚕は深く眠りゐて櫟のこずゑ風渡りゆく」(美智子上皇后) 出典:「春日井キャンパスの植物」(『ANTENNA』 No.160、2023年7月、12頁。太田明徳 記および撮影 学校法人中部大学 監事(当時)) |