資料詳細
項目 | 内容 |
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資料番号 | CH00005660 |
形状 | 自然史、写真・静止画像(データ) |
資料名 | 春日井キャンパスの植物(チャノキ) |
作者 | 学校法人 中部大学 |
設置場所 | 中部大学(爛柯軒周辺) |
コレクション名 | |
計測値 W(mm) | |
計測値 D(mm) | |
計測値 H(mm) | |
分類 | 自然史 |
解説 | ツバキ科ツバキ属Camellia sinensis。常緑樹。葉を摘んで茶に加工する。栽培種は葉を摘みやすいように低く仕立てるが、野生樹はもっと大きくなるらしい。もとは亜熱帯(暖帯)の植物である。中部大学の爛柯軒の庭に低いチャノキの生垣がある。10月頃に小ぶりの白い花が咲く。黄色い多数の雄しべはツバキと違って房状にはならず、広がる。花言葉は「純愛」「追憶」。整った花弁の花が少ないのは、茶摘みを目的に育種されたためと思われるが、清雅な趣がある。現在の日本の茶樹の7割以上は1908年に静岡市で育種家杉山彦三郎によって見出された「ヤブキタ」だそうで、母樹は静岡県の天然記念物として健在である。 茶は中国で唐代には広く利用されていたと言う。日本で栽培されたチャノキは栄西が1191年に中国から持ち帰り、佐賀の背振山に撒いた種子に由来するらしい。茶は鬱気(うっき)を去る薬あるいは飲料であったらしく、茶席は室町時代から社交の場として洗練された。千利休とその後継者たちに至って主客の知性と感性が試される場ともなったようである。 緑茶は摘み取った茶葉を蒸して、葉の酵素による発酵を止め、乾燥させたものである。紅茶は中国が発祥の地で、発酵の最も進んだ茶であり、特有の香気と深赤の水色を生ずる。インド、スリランカなどが主たる生産地で、中国種のチャノキの他に、1823年にインドのアッサム地方で見出された亜種が利用されている。 明治期に緑茶は重要な輸出品であった。牧之原台地の広い茶畑は維新後に江戸から静岡に移り住んだ幕臣の一部と、大井川の川越制度の廃止(1870年)によって失職した人々が開いたものである。集会所のような丸尾原神社に開拓の記念碑と顕彰碑がある。 茶は照葉樹林の恵みである。緑茶特有の渋みや爽やかな風味は、抗酸化作用を有するポリフェノール類であるカテキンと呼ばれる物質群による。カフェインには覚醒、興奮、利尿などの作用がある。ビタミン類、ミネラルの他に、テアニンというグルタミン酸の誘導体が多く含まれ、旨味とほのかな甘みを与える。 参考) ・『茶:利休と今をつなぐ』千宗屋、新潮新書、新潮社2010 ・『お茶のなんでも小事典』大坪壇監修、ブルーバックス、講談社2000 ・『茶の科学』村松敬一郎編、朝倉書店1991 ・朝日百科『植物の世界』第7巻、朝日新聞社1997 ・『お茶の科学:色・味・香りを生み出す茶葉のひみつ』大森正司、ブルーバックス、講談社2017 出典:「春日井キャンパスの植物」(『ANTENNA』No.159、2023年4月、12頁。太田明徳 記および撮影 学校法人中部大学 顧問(当時)) |