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資料詳細

項目 内容
資料番号 CH00005659
形状 自然史、写真・静止画像(データ)
資料名 春日井キャンパスの植物(ハギ)
作者 学校法人 中部大学
設置場所 中部大学(爛柯軒周辺)
コレクション名
計測値 W(mm)
計測値 D(mm)
計測値 H(mm)
分類 自然史
解説 マメ科、ハギ属Lespedezaは東アジアと北アメリカに約60種があり、日本には十数種が分布するらしい。秋(8月から10月)の七草の一つとして古くから親しまれている。ハギ属の植物はハギと総称されている。万葉集に詠(うた)われた花の中で最も多く、141首もの歌があると文献にあった。「萩」の字は万葉集には見当たらず、別の字が充てられているそうで、中国ではキク科の植物を指すらしい。中部大学では、工法庵奥の爛柯軒前に、趣のある白花のハギが植えられている。白いハギの花言葉は「思案」だそうである。赤い花を咲かせるミヤギノハギL. thunbergiiか、ニシキハギL. nipponicaの変種らしい。結実すれば扁平あるいは楕円形の果実の中に1個の種子がある。ハギと言えば、お彼岸のおはぎを思うが、その小豆は邪気を払う赤色であり、ハギの花が咲く秋のお彼岸の日に相応しい食べ物ということだろう。
構内にはハギに似た植物があちこちに生えていて、葉の三つの小葉は先が細い長円形で、丸みのあるハギとは違っている。9月から10月に7mm程度の小さな紅紫色の蝶形花をつける。上にあるのが目立つ1枚の旗弁であり、オシベとメシベは各2枚の翼弁と竜骨弁に挟まれている。まさしくマメ科の花であるが、ハギとは属が違い、ヌスビトハギ属のアレチヌスビトハギDesmodium paniculatumと言う、北米原産の帰化植物である。1940年に大阪で初めてその存在が報告され、今ではあちこちに見られる。この属の果実は一つ一つの扁平な種子が独立した鞘(小節果)に入って並ぶ節果を作る。アレチヌスビトハギはおよそ4個の小節果を作るが、小節果の表面には鉤状毛が生えており、人の衣類や動物に付着し、離れない。付着した節果が盗人の徴(あかし)として名前の由来になったらしい。うっかり群生地に入ると、衣類から取り除くのに苦労する。
30号館脇の捨身の碑の周辺はすっかりこの植物に覆われてしまった。風に揺れ、可憐な風情ではあるが、除去困難な侵入者である。

参考)
・「植物の世界」第1巻p4-290、朝日新聞出版1997
・「万葉植物文化誌」木下武司、八坂書房2010
・「萩の花/尾花葛花/撫子の花/をみなえし/また藤袴/朝顔の花」万葉集1538、山上憶良
・「日本の帰化植物」平凡社2003
・ウィキペディア、「ハギ」「アレチヌスビトハギ」

出典:「春日井キャンパスの植物」(『ANTENNA』No.158、2023年1月、12頁。太田明徳 記および撮影 学校法人中部大学 総長補佐 (当時))