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資料詳細

項目 内容
資料番号 CH00005658
形状 自然史、写真・静止画像(データ)
資料名 春日井キャンパスの植物(ライラック)
作者 学校法人 中部大学
設置場所 中部大学(附属三浦記念図書館周辺)
コレクション名
計測値 W(mm)
計測値 D(mm)
計測値 H(mm)
分類 自然史
解説 ライラックはムラサキハシドイSyringa vulgaris を中心とするモクセイ科ハシドイ属の花木の総称で、英語ではlilac、フランス語ではlilas(リラ)として知られる。ムラサキハシドイは原産地のヨーロッパ東南部から16世紀に西ヨーロッパに伝わったと言う。4~5月に紫色の花を咲かせる。18世紀には白いライラックも生まれたらしい*。枝先に花が群れとなるが、個々の花は長さ1cmほどで花筒部先端に花冠が十字に開く。落葉広葉樹で中低木、卵型の葉の先端は少し尖る。属名は材の芯を抜いて笛に加工したことに由来するとのことである。ハシドイS. reticulataは日本原産のライラックで、「釧路市の木」である。ハーバード大学のライラックのコレクションの最も古い樹は、1876年に日本からもたらされたハシドイ(Japanese tree lilac)だそうである。
ライラックの花言葉が「友情」「思い出」「大切な友達」であるのは花の香りが青春を憶わせるからだろう。中部大学では図書館の北側の広い芝地を見下ろす場所に、開学50周年の記念樹としてある。2014年に同窓会から贈られたものである。本来冷涼な気候に育つ植物であるが、温暖な春日井の地でも花を咲かせている。季節には微かに赤紫の花の並びを図書館1階窓際の読書テーブルから見ることができる。
トルストイの『復活』には、白いライラックを手にするカチューシャの姿が描かれている。白いライラックの花言葉は「青春の喜び」「無邪気」であるが、農奴生まれの少女のそれからの辛酸を思わずにはいられない。
北海道大学植物園の奥に各種のライラックの並木道がある。園内の宮部金吾記念館前の紫の花のライラックは、北星学園の創始者サラ・C・スミス氏が1890年に米国の故郷から携えてきたもので、札幌市の最初のライラックらしい。曲折の時を経て、今ではいろいろな種類のライラックが「市の木」として街のあちこちに植えられている。札幌をお訪ねの際にはビールとジンギスカンとクラーク博士だけでなく、この植物園にもどうぞ。カラフト犬タロも待っている。

1. 「花の西洋史事典*」Alice M. Coats、白幡洋三郎・節子訳、八坂書店2008
2. 「朝日百科 植物の世界」第2巻2-205、朝日新聞出版社1997
3. 「花と樹の大事典」木村陽二郎、柏書房1996
4. ウィキペディア「ライラック」「ハシドイ」
5. The Arnold Arboretum of Harvard University HP
6. 北海道大学植物園HP

出典:「春日井キャンパスの植物」(『ANTENNA』No.157、2022年10月、12頁。 太田明徳 記および撮影 学校法人中部大学 総長補佐(当時))