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資料詳細

項目 内容
資料番号 CH00005656
形状 自然史、写真・静止画像(データ)
資料名 春日井キャンパスの植物(キョウチクトウ)
作者 学校法人 中部大学
設置場所 中部大学(22号館、学生寮周辺、9号館周辺、附属三浦記念図書館、体育文化センター周辺)
コレクション名
計測値 W(mm)
計測値 D(mm)
計測値 H(mm)
分類 自然史
解説 キョウチクトウ科キョウチクトウ属Nerium indicum。常緑中高木、インド原産、属名Neriumはギリシャ語で湿ったという意味で、この木が湿気を好むとされたかららしい。中国経由で江戸時代中期に伝来。葉が竹に似て、花が桃に似ているのでこの名がついたという。花は漏斗(ろうと)状または高坏(たかつき)状で芳香があり、いろいろな色の品種がある。紅色の花には八重咲きが多く、白い一重咲きもある。6月から9月にかけて長期間次々と開花し、美しい。結実するが、日本では難しいらしい。暑さや乾燥に強く、湿地以外ならほとんどどんな土地にも育つ。排気ガスなどの大気汚染にも強く、挿木によって増やしやすいことから、高速道路脇、公園などの公共施設の植栽によく見受けられる。
植物体各所に強い毒性を持つオレアンドリン(Oleandrin)などが含まれる。オレアンドリンの50%致死量(LD50)は0.3 mg/kg体重、すなわち体重60 kgの大人なら18mgで、切手1枚分にもならない。末端にラクトン環を持つステロイドに糖が結合した構造は、欧州原産の植物「キツネノテブクロ」由来の強心配糖体ジギタリスに似る。ジギタリスはNa⁺/K⁺-ATPaseの阻害により、心筋の収縮を引き起こす。フランスでは古く普仏戦争時に兵士がキョウチクトウの枝を串にして肉を焼き、死者が出たという。日本でも時々中毒者が出るので、子供が花で遊んだりしないように、枝葉の始末にも要注意とのことである。花言葉は「油断大敵」「危険な愛」「用心」など、いずれも花の美しさの陰にある危険を教えている。現代米国の小説「White oleander」(Janet Fitch、邦訳「扉」講談社文庫、2000)ではこの花が象徴的なモチーフとして使われている。
それはともかく、中部大学では八重の紅い花を咲かせる株が経営情報学部と学生寮との間に、また、9号館南西の角にもある。図書館と屋内プールの間の芝地には白い花のキョウチクトウの大きな群落があり、背の高いユリノキと青銅の彫像と共に、学園の広々とした心地よい空間を構成している。

【参考】
(1)花の西洋史事典、Alice M. Coats、白幡洋三郎、白幡節子訳、八坂書店
(2)英国王立園芸協会 園芸植物百科事典、Christopher Brickell 編、横井政人監訳、誠文堂新光社
(3) Encyclopedia of Toxicology, 2nd ed., ed. Philip Wexler, Vol.3, Elsevier Academic Press
(4) Wikipedia, Oleandrin

出典:「春日井キャンパスの植物」(『ANTENNA』No.155、2022年4月、12頁。太田明徳 記および撮影 学校法人中部大学 総長補佐(当時))