資料詳細
項目 | 内容 |
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資料番号 | CH00005486 |
形状 | |
資料名 | 伊藤平左エ門 自作カメラ一式 |
作者 | 伊藤平左エ門カメラコレクション |
設置場所 | |
コレクション名 | 伊藤平左エ門カメラコレクション |
計測値 W(mm) | 150 |
計測値 D(mm) | 135 |
計測値 H(mm) | 121 |
分類 | 技術史 |
解説 | かつて、多くのカメラマンがカメラを自作している。これらの大半は「新たな写真表現への挑戦」を目的としたもので、歪んだ映像やピント・露出の怪しいぼやけた映像に作者の心象を投影するツールとして製作されている。しかし、伊藤平左エ門先生(中部大学名誉教授・1922~2004)の自作カメラの場合は、その趣は多少異なっている。 レンズは「ツァイス(Carl Zeiss Jena Tessar)75mm」、シャッターは「デッケルコンパ―(Friedrich Deckel Compur)」、距離計は「ウォルツ(Walz)」、フィルムマガジンはマミヤの既製品、それに自作のファインダー、これらを手製の木製ボディに装着している。他に、附属レンズ2本「マミヤ・セコール(Mamiya-Sekor)65mmと90mm」も添えてある。 おそらくは、壊れた蛇腹カメラのツァイスレンズとシャッター部分が捨てがたく、マミヤの部品を使って再生させたのがこのカメラだと思われる。 従って、元の蛇腹カメラの映像を取り戻し、再現するための自作と見てよいだろう。 ただし、マミヤの接写リングを加工し、レンズ、シャッターを嵌めこみ、木製の箱に装着するための創意工夫は生半可でないのは分かるものの、「精密機械であるカメラのボディをなぜ木製にしたのか」という疑問は残る。それにプリミティブなファインダーと精密な距離計のコンビネーションも気になる。 被写体とレンズ、レンズとフィルム面との距離はピント合わせの要と言われている。精巧なものとラフなもののコンビネーション、ここに先生の意図があったのか無かったのか? 今となっては分からない。しかし、左右対称につけられた2つのストロボ・シューなどからは多少の遊び心も見えかくれする。 堂宮大工の血が騒いだのかもしれない、これを作っている時、先生はきっと楽しかったのだと思う。そのための自作カメラでもあった。 (本文提供:内藤和彦中部大学名誉教授) |